2009年10月11日日曜日

第1章: 前兆―2―背表紙の心霊写真:part3

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 3月には、息子の不登校は本格化していました。 

 それでも、私がバイオリンを弾いていると少し興味があったようで、「ビブラートできないの?こうすれば簡単だよ」と、初めてのバイオリンをさっと構え、練習もしていないのに、いきなり美しいビブラートの音色を出すことができました。 

 彼は、中1の1学期まで、吹奏楽部に所属して、トランペットをやっていましたが、その子に合った楽器が決まるまでは、弦楽器(ヴィオラ)も少し弾かせてもらった、と言いました。 それにしても、まだ13で、バイオリンのビブラートをすぐに器用に奏でられることに、私は驚きました。 

 私は、不登校の生活でも、少しでも、楽器の演奏などに触れて、心に潤いのある暮らしを送ってほしいと願いました。そこで、私が率先して、バイオリンを毎日練習して見せていたのです。 

 しかし、ユタカの物事への無関心と無気力は日々増幅するばかりで、楽器演奏という能動的な行動よりも、DS でひたすら夜中までゲームをする、という受動的生活が主となり、昼夜逆転が当たり前となっていきました。

 カウンセラーの先生は、「お子さんが不登校になると、お母さんがまず一番辛くなるんですから、お母さんの生活も、大切になさって下さい。趣味がおありなら、それを楽しむ時間を持つように心がけて下さいね」と励まして下さいました。

 精神的に辛い日々を送っていた、3月の末頃でした。

 ある日、すっかり忘れていた、例の『人形』の本が、なぜか、しまい込んでいた書棚から、誰も触っていないのに、やはり『トミカ』と『賢者の石』の間から抜き取られ、赤い表紙を上にして、書棚横のピアノの足もとの床に、無造作に置かれていました。

 「ああ、嫌だ。この本、なぜこうなるの?」とウンザリする私に、母は、「そんなに嫌で怖いなら、もう捨てなさいよ」と忠告しました。

 しかし、矛盾したことではありますが、これで、この本の移動は4回目なのに、「やっぱり買った物をそう簡単に捨てられないわよ」などと私は言いました。

 そして、今度は、私が思い切って、その本を持って、玄関横の5畳ほどの書斎の書棚に押し込みました。

 それも、『私の人形~』との背表紙のタイトルさえ見るのが嫌で、書棚の前列を避け、2列目の奥に、ぎゅっと詰め込むように入れました。

 「勝手に動かないように」、両脇をあらゆる本で固め、絶対に隙間ができないほど、きつく押し込んだのです。

 それから、数日間は、「あの本が移動していないか」を確認するのが日課になりました。今考えると、軽い強迫神経症(確認癖)になっていたのでしょう。

 しかし、4月も過ぎ、5月になると、その本のことは、ほとんど考えなくなりました。それより、息子の不登校の心配が大きかったのです。

 ですが、現在思い起こすと、『私の人形』が勝手に飛び出した事件は、その後、5月20日頃から急に始まり、凄まじい勢いでエスカレートしていった超常現象の、ほんの前触れに過ぎなかったことが、よく理解できるのです。(to be continued......) 

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